化学組成が大きく異なる岩体同士の接触領域—岩相境界—には、量的には決して多くないものの、珍しい産状を示す鉱物や岩石が産出します。
石灰岩に珪長質マグマが貫入した際に境界領域に形成されるスカルン (鉱床) は、その好例です。
それらは岩石間での化学組成の勾配や水流体の流れを駆動力とした溶解・移流・拡散・沈殿析出などのプロセスを経て形成されるため、地球内部で起きている岩石間・岩石−流体間の相互作用を読み解く重要な手掛かりになります。
今回の岩石は、かつてのプレート沈み込み境界の岩石、「透閃石岩」です。
本岩石は、沈み込むプレート上の堆積岩源変成岩と、上盤マントルの超苦鉄質岩 (橄欖岩・蛇紋岩) との境界領域に特徴的に見られます。
そのため国内では三波川変成帯別子地域をはじめとして、比較的普通に本岩石を観察することができます。

フィールドでは、透閃石がほぼ100%を構成するものから、滑石や蛇紋石、緑泥石と共存するものまでバリエーションがありますが、無色〜淡緑色の透き通る柱状・繊維状の透閃石単結晶が目印になります。
以下、岩石薄片の写真です。構成鉱物はどれも軟らかく繊細で、丁寧な仕上げが必要です。

鮮やかな干渉色を示し、しなやかに湾曲する自形の透閃石と、細粒な滑石と緑泥石からなるマトリックスのコントラストが特に美しいです。


透閃石に見られる波動消光と面構造の褶曲は、変形作用を被った証拠です。


弱い多色性を示し、面構造・線構造を規定する。


もっとも高い干渉色の鉱物が滑石。対照的に低い干渉色の鉱物が緑泥石 (Clinochlore)。

Tremolite fish
ブルーブルーホワイトブルー。
良いお年を。










