Склад Памяти

Склад Памяти © 2019–2026 (CC BY-NC-ND 4.0)

とび魚のバタフライ

化学組成が大きく異なる岩体同士の接触領域—岩相境界—には、量的には決して多くないものの、珍しい産状を示す鉱物や岩石が産出します。

石灰岩に珪長質マグマが貫入した際に境界領域に形成されるスカルン (鉱床) は、その好例です。

それらは岩石間での化学組成の勾配や水流体の流れを駆動力とした溶解・移流・拡散・沈殿析出などのプロセスを経て形成されるため、地球内部で起きている岩石間・岩石−流体間の相互作用を読み解く重要な手掛かりになります。

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今回の岩石は、かつてのプレート沈み込み境界の岩石、「透閃石岩」です。

本岩石は、沈み込むプレート上の堆積岩源変成岩と、上盤マントルの超苦鉄質岩 (橄欖岩・蛇紋岩) との境界領域に特徴的に見られます。

そのため国内では三波川変成帯別子地域をはじめとして、比較的普通に本岩石を観察することができます。

滑石–透閃石岩 (三波川変成帯)

フィールドでは、透閃石がほぼ100%を構成するものから、滑石や蛇紋石、緑泥石と共存するものまでバリエーションがありますが、無色〜淡緑色の透き通る柱状・繊維状の透閃石単結晶が目印になります。

以下、岩石薄片の写真です。構成鉱物はどれも軟らかく繊細で、丁寧な仕上げが必要です。

直交ニコル (面・線構造に垂直)

鮮やかな干渉色を示し、しなやかに湾曲する自形の透閃石と、細粒な滑石と緑泥石からなるマトリックスコントラストが特に美しいです。

左:平行ニコル 右:直交ニコル

透閃石に見られる波動消光と面構造の褶曲は、変形作用を被った証拠です。

透閃石 (左:平行ニコル 右:直交ニコル)
弱い多色性を示し、面構造・線構造を規定する。
滑石・緑泥石 (左:平行ニコル 右:直交ニコル)
もっとも高い干渉色の鉱物が滑石。対照的に低い干渉色の鉱物が緑泥石 (Clinochlore)。

直交ニコル
Tremolite fish

ルーブルーブルーブルー、

ルーブルーホワイトブルー。

 

良いお年を。

点紋観測

三波川変成帯で産出する変成岩のひとつに「点紋片岩」という岩石があります。

スポット状に大きく成長した曹長石がまだら模様のように散りばめられたこの岩石は、野外でも一際目立ち、その神秘的な風貌は多くの人を魅了してきたことと思われます。

変成度や変形の定性的指標にもなることから、三波川帯研究では古くから注目されてきました。

曹長石–緑簾石–普通角閃石片岩 (高知県本山町汗見川 三波川帯)

点紋片岩の原岩が玄武岩質なものであればこのようなゴマダラ模様の塩基性片岩として産出することになりますが、原岩が泥質であると曹長石には炭質物の包有物が多量に含まれ、いわゆる黒色片岩などとして産出します。

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今回は、鏡下でも大変美しいこの「点紋片岩」の薄片の紹介です。

毎度のことながら、標本は高知県の汗見川沿いで採集しました。汗見川まで遡上せずともこの地域には吉野川沿いに手のひらサイズの点紋片岩が無数に転がっています。

以下、面構造に垂直・線構造に平行な薄片の画像です。

斜長石斑状変晶 (平行ニコル)

斜長石斑状変晶 (直交ニコル)

構成鉱物は石英曹長石、緑簾石、普通角閃石、ルチルととても単純です。

曹長石には微細な緑簾石や石英などが無数に包有され、それらが内部面構造を規定しています。結晶内側ではほぼ直線的な内部面構造は、周縁部で急角度で湾曲する傾向があります。

斜長石斑状変晶に発達する内部面構造と石英のプレッシャーシャドウ

直交ニコル+鋭敏色検板
大地の脈動すらも聞こえてくる。

石英曹長石のプレッシャーシャドウに存在する場合がほとんどで、基質の他の部分にはあまり存在しません。

普通角閃石

普通角閃石は板状に細長く成長しており、これもまた美しい多色性を示します。

緑簾石

毒々しいと評される緑簾石の干渉色もここでは極彩色を奏しています。

 

ゴマダラカミキリ (長野県軽井沢町 浅間山中腹)