2023-01-01から1年間の記事一覧

転がる輝石、君にスコリアが降る

薄っすらと秋の影が感じられるようになった8月の終わり頃に訪れた巡検先の記録です。 国内に多数ある普通輝石の産地のなかでも特に有名な、長野県南牧村の平沢峠周辺の火山岩を観察しに行きました。 八ヶ岳を望む眺望 普通輝石の自形単結晶を簡単に採集でき…

領家帯の黒雲母–菫青石片麻岩の薄片

三波川変成帯と対をなす白亜紀の領家変成帯には、おなじみの珪長質な花崗岩質深成岩や、以前記事にした苦鉄質深成岩 (コートランダイト質斑糲岩など) のほか、砂岩や泥岩を原岩とする高温低圧型の広域変成岩が産出します。 今回はそのうち泥質片麻岩である黒…

失われゆく蛇紋岩―埼玉県越生町 古武ノ山蛇紋岩を尋ねて

宅地造成やゴルフ場造成などの土地開発によって貴重な岩石・鉱物の産地が意図せず廃れてしまうことは、残念ながらしばしばあるようです。 かつて灰クロムざくろ石 (uvarovite; Ca3Cr(III)2Si3O12) の産地として名高かったという、埼玉県越生町西和田付近に分…

三波川帯汗見川の紅簾石石英片岩(第2弾)

今回の岩石薄片は前々回の記事とおなじく、高知県中北部を流下する汗見川で採取した変成岩、紅簾石石英片岩です。 (なお、本記事でも含Mn緑簾石/紅簾石問題には立ち入りません。) calcho.hateblo.jp 実は前々回の紅簾石石英片岩は転石ですが、今回は露頭採取…

領家帯のコートランダイトを薄片にしてみた

最近、久しぶりに岩石薄片に感動させてもらいました。 かんらん岩を薄片にしたことのある人なら恐らく分かって貰えると思いますが、美しい薄片には学術的価値以前に、人知の及ぼぬ神秘さがあります。 ということで、今回の岩石薄片は、長野県領家変成帯の花…

三波川帯汗見川の紅簾石石英片岩の薄片

プレート沈み込み帯での低温高圧下で形成された変成岩は、紅色や藍色、緑色とカラフルな産状を示すことがしばしばあります。 それら岩石の薄片の偏光顕微鏡観察をおこなうことで、発色の原因となっている鉱物を同定することが可能です。 とくに、埼玉県長瀞…

関東山地嵐山渓谷の三波川帯泥質片岩 (黒色片岩) の薄片

今回は3年前に訪れた、関東山地東縁の嵐山渓谷で採取した泥質片岩 (黒色片岩) の薄片を作りました。 というのも、岩石試料を整理していたところ、他の試料にくらべてあまりにもサンプルが黒かったため、含有鉱物をこの目で確かめておきたかったからです。 埼…