恐竜博2019

天気も良く夏休みも暇なので,上野の国立科学博物館で開催されている特別展に行ってきました.実は恐竜博に行くのはなんと15年ぶりで,結構楽しみにしていました.

 

ざっと展示の内容をまとめると,ここ50年の恐竜研究の進展と,謎が解明されつつある恐竜「デイノケイルス」について,そしてこの前学名が正式に決まった「むかわ竜」,さらに約6600万年前の大絶滅「K/Pg境界」などでした.

 

大学の授業で少し前に扱った標本の種類(ホロタイプだとかシンタイプ)や化石の保存状態を決める要因,生物の進化学,幾度もあった大量絶滅の要因と結果などを思い出させるもので,非常に勉強になったと思います.

 

以下写真とともに少しメモをしておこうと思います.

 

・むかわ竜

 この前学名が正式に「Kamuysaurus japonicus」に決まったむかわ竜.展示によると,カムイサウルスは北海道むかわ町の約7200万年前の白亜紀後期の地層「函淵層」から発見されたハドロサウルス科新属新種の恐竜です.海成層から発見されたため,当初は海生爬虫類の仲間の首長竜だと思われたそうです.しかし,系統解析や骨格の研究によって恐竜と発覚したそうです(首長竜と恐竜はペルム紀に分岐した別のグループ(Wikipediaより)).海成層に見つかったのにもかかわらず,化石の完全度の高い状態で見つかったのは稀だということです.今回の恐竜博では実物が見られます.

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「むかわ竜」

カムイサウルスの報告論文は以下.

www.nature.com

・K/Pg境界(白亜紀三畳紀境界)

 この大絶滅イベントでは,アンモノイド類や海生爬虫類,鳥類以外の恐竜類などが絶滅し,そのほかの種も大きな被害を被りました.隕石衝突が原因とも考えられ,大量のエアロゾルが生成されることで太陽光が散乱される,また酸性雨の生成などが絶滅の要因となったと考えられます.海洋生物は太陽光遮断による光合成の停止,そして表層水の酸性化で植物プランクトンが打撃を受け食物連鎖網の上位の生物が絶滅に至りました.陸生生物は太陽光の遮断による光合成停止で植生が失われことで,その消費者も壊滅的な被害を受けたとされます.隕石衝突説は当時の地層に含まれるイリジウムの濃度がポイントだそう.

 展示はK/Pg境界を意識して作られており,この絶滅イベントを乗り越えられたものとそうでないものとで展示ゾーンが分けられていたり,それらの間の違いについて比較がなされていました.

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世界各地の地層に記録されるK/Pg境界

 

 余談にはなりますが,博物館の石材が綺麗で気になりました.1枚目はトラバーチンでしょうか…?所々にある空隙に方解石だかの結晶が見られました.

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