秩父鉱山の岩石薄片③ トーナル岩
たびたび秩父鉱山の岩石の薄片を作っていますが,今回は先々週訪れた渦の沢で採ってきた石の薄片です.
3回目の今回の試料は,新第三紀に秩父帯の岩体に貫入し,秩父鉱山の大規模な接触交代鉱床を形成したとされる,トーナル岩です.
トーナル岩は,石英と斜長石が同程度含まれ,一方でカリ長石は殆ど含んでいないような深成岩です.地質調査所の公開している地質図Naviを一見すると,各産地と秩父トーナル岩の分布関係がよく分かります.
肉眼では有色鉱物として視認可能なサイズの角閃石が目立ち,ほかには少量の黒雲母が見られます.
以下,薄片の写真です.
(上)累帯構造と単純双晶・集片双晶が綺麗に見られた粗粒の斜長石結晶です.
(上2枚)試料中の斜長石はこんな感じで結構汚濁しています.石英は斜長石ほど目立ちません.
(上2枚)等粒状の斜長石に加え,苦鉄質鉱物として普通角閃石や黒雲母が見られます.黒雲母はほぼすべて緑泥石に変質しています.不透明鉱物はこれら苦鉄質鉱物の周囲,あるいは内部に目立ちます.
(上2枚)不透明鉱物を包有し,単純双晶をなす角閃石結晶.
(上2枚)輝石と微細な不透明鉱物を包有する角閃石結晶.